・始まり

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「ジン~、朝よ~、おきなさ~い」 間延びした、 母親の声。 毎朝聞く声だ。 この声を聞くのは もう何回目だろうか? 「365日が17年だから・・ ・・いや赤ん坊の時は除外・・・か?」 こんなどうしようもな いことを考えていると 前いた世界とかわり ない気もしてくるが 昨日の夜からつけっぱなしに していたテレビから聞こえて くる内容がその考えを吹き消してくれる。 『依然として収まる気配を 見せない反地球連邦運動ですが、 昨日未明この12バンチコロニー でも武装警官隊と運動家との あいだで衝突が発生しました。 それでは現場の様子を・・・・』 「またか・・・・、と、そろそろやばいなっ」 手を上にかざした時に 見えた腕時計がすでに 午前8時を回っているのを 見て俺はベッドから飛び起きた。 転生という体験をしてから 早17年が過ぎようとしている。 俺が生まれたのは 旧世紀でいう日本だった場所だ。 いまでは地球連邦の属州 となっている。 生まれた当時、ジオン公国は 独立を宣言しており地球内外で ついに戦争かといった空気が流れていた。 もちろんその時から歴史を 知っていた俺は歴史への 介入を考えてきたが、 結局出た答えは介入は 不可能というものだった。 自分はまだ7歳の子供でそんな子供の意見を 連邦の官僚主義者が 聞く耳を持つはずがない。 父親がアナハイムの 研究員だったことを 利用して父親を 介しての介入も考えたが、 末端の研究員であった 父親ではそれは無理だった。 結局、自分の命と家族の ことを考え両親にコロニー 移住をすすめることが精一杯だった。 したに降りると、 母親が食事の準備をしていた。 これも日常風景だ。 「遅かったわね、 ゲンはもう行っちゃったよ」 ゲンというのは 俺の2つ下の弟のことだ。 「ゲンは、いつも早いな・・・」 そういいながら 手近な席に座り、 お茶を口に含む 「そりゃそうよ、 ゲンはお兄ちゃんを 超えたいんだから~」 「俺を超える・・ね・・」 母親の言葉にすこし 複雑な思いを抱きながら、 出された食事を手早く 済ませ身支度を整え外に出る。 「学校の帰りに、研究所に いってお父さんにいつ 帰ってくるか聞いてきて頂戴~!」 と、後ろから聞こえてくる 母親の声に対して片手を あげて返事をしながら、 コロニー内を走る 大型エレカに飛び乗り、 一路学校へと向かう。
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