・始まり

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学校までの道のりが 退屈であるというのは 宇宙世紀になっても 変わらないらしく、 家が近い友人が 少ない俺は特に暇だった。 こういう時はいつも 自分の持つ知識の整理をする。 俺はこの世界で 言えば異端者だ。 普通の学生が知る はずもないことを 知っていて、 そしてそれは この世界を変えて しまうほどの武器 にもなりかねない。 だが、今の自分 にそこまでの力が あるわけでもなく、 そんな立場にあるわけでもない。 文字通り「宝の持ち腐れ」だ。 「そういえば、もうじきZの時代か・・・・」 Zガンダム ・・グリプス戦役を舞台 としたガンダム作品。 ちなみに俺が一番好きな時代の作品でもある。 「近いうちに ここ(サイド7) のグリーン・ノア1で エゥーゴのMk-Ⅱの強奪作戦が・・」 と、いろいろ考えていると・・ 「よっ!グリーン・ノア1がどうした?」 いきなり横に 現れたこいつは、 エウ・シューザー。 エウとは父親同士が 同じ職場であったため 地球にいるときから 一緒にいる、 いわゆる幼馴染というやつだ。 「別に・・、ただの考え事だよ」 「まさか、女か?! グリーンノア1にいるのか!?」 「違うよ」 とりあえず 反論はしておく。 頭を抱え込み唸る エウを尻目に外を 見るとコロニー内に あるとは思えない 馬鹿でかい建物が 見えてきた。 「おっ学校が見えてきたな」 さっきまで 唸っていたとは 思えない立ち直りの 速さでエウが外を眺めている。 そう、コロニーの3分の1を 占めているこの施設は アナハイムエレクトロニクス社が 運営管理する 小学校から大学まで 一貫している学園だ。 だが、大きさの割に 学園自体の大きさ はそうでもなく施設の 半分以上はアナハイム社 の研究施設になっている。  (その中に俺の父親がいる研究設備もある) 「もう見飽きたってか?ジン?」 「あぁ、5年以上見てればな」 「だなっ!」 笑いながら、 片手には携帯を操作し もう片方の手で ジュースを飲むエウ。 「相変わらず器用だな、お前」 「そうか?けどMSパイロットになるには器用じゃないと」 関係ないと思うが・・ というツッコミは 口に溜まったつばと 一緒に飲み込みバス を下りる準備をする。
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