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必死に勉強した。
俺はついに大学に受かった。
今までの勉強量から考えると当然の結果だが、やっぱり嬉しい。
そして、今日から念願の一人暮らしだ。
実家ではやりづらかったことが堂々と出来るのである。
まあ第一は彼女を家に堂々と呼べる。
そして、A…B…C…。
自由だ。俺は自由になった。
いいベッドを買っておいてよかった。
しかし、問題がひとつある。
近所付き合いだ。
このアパートは小さいから、全員それぞれ顔見知りなのだろう。
一階に四部屋、二階に四部屋。
俺の部屋以外埋まっていると聞いていたから、今日から住む俺を含め八組の人間が住んでいるのだろう。
ここ、俺の部屋はアパートを正面から見て、一階の左から二つ目の部屋。
初対面の人間とは話すのが苦手な俺にとって、挨拶回りが一番きついだろう。
今は俺の部屋で、母さんに言われた通り集めた七つの『粗品』を眺めている。
ああ、行きたくない。
彼女でも呼ぼうかな。
「いや、俺はもう十八歳!そして一人暮らしを始めたのだ!変わらねばならん!」
よし。気合いが入った。
俺は『粗品』をビニール袋に全て入れ、持って立ち上がった。
ドアノブに手を伸ばしたときだった。
ガンッ。
ガンッ。
ガンッ。
左隣の部屋から大きな音が聞こえた。
何か作っているのだろうか。
さっきまでは何も聞こえなかったのだが。
ガンッ。
ガンッ。
ガンッ。
なんだろう。
もしかして、さっき気合い入れた声に怒っているのだろうか。
そうだとしたら、絶対に左隣の部屋は行きたくない。
ガンッ。
ガ…。
止まった。
ガチャ。
ガチャガチャ。
何か作って、何か取り付けたのだろう。ひとまず安心である。
目線を戻し、触れていた金属を押して外に出た。
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