捨てられた少女

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繰り返される日常、何も変わらない学校の生活が、ようやく、中止される。 中止。 そう、また次の学期への延期と同じだ。 高校一年の冬が終わり、三学期ももうすぐ終わりを告げ、春休みがやってくる。 球技大会は、毎学期終盤恒例の行事であり、午前中で済ませればいいものの、夕方近くまでだらだらと続く面倒な行事だ。 ただ今日は、雨で中止、延期となったため、通常通り、授業が再開されていた。 球技大会を心待ちにしていた運動馬鹿は、かなり残念そうにして悔しがっていたが、現世、スポーツよりも勉強の方が圧倒的優先とされる傾向がすっかり強くなってしまっていたため、彼らのような存在を疎ましく思う連中は多かった。 それは、先生といった大人たちも同様で、球技大会自体、止めてしまえばいいというような意見も挙がっているらしい。 僕はそっちのほうが嬉しいのだけれど……たぶん、この行事はなくなることなんてないと思う。 期待するだけ無駄だ。 他人に期待なんかして、良いことがあった試しなど、一度も存在しない。 授業が終わり、放課後。 学校という束縛から解放された生徒たちは、午後の予定について楽しく語り合う者で、教室が賑やかになっていた。 当然、僕はそのような空気に馴染むこともできず、馴染みたいとも思わず、教室から一人、独り、抜け出した。 友達がいないのだから、独りになることなど当然で必然だ。 人生を悟ってしまっている僕を嫌う人間は、多い。 もちろん、影の薄い、存在感の薄い僕に関わりたいなどと考える人間はほとんどいないし、僕自身、誰かに関わろうとするつもりもない。 僕と一緒にいることのメリットなど無いし、デメリットなら数えきれないほどたくさんある。
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