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「明日から夏休みですね……。楽しみですよね」
その問いに、私は曖昧に頷くことしか出来なかった。
「茜さん……嬉しくないですか、夏休み?」
敏感に私の顔色を読み取った笹鳴さんは、遠慮がちにだが聞いてきた。
そうね。夏休みが嬉しいかと聞かれれば、私は首を横に振るだろう。
なぜなら……
「家より学校の方が好きなのよ。だから一ヶ月近く学校が休みなのは嬉しいとは思えないかな」
笹鳴さんは若干だが驚いていた。長期休暇を嫌う学生はそうはいないだろうからね。
「茜さんのお家…………いえ……なんでもありません……」
彼女が何を聞きたかったのかは結局分からずじまいだった。彼女はそれから自分自身について語り始めたから。
「夏休み自体は楽しみですが、一つだけ嫌な思い出があるんです。これは去年の夏休みのことですが…………」
ナルホド……
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