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「はい。一年の茜香子です」
「そう。私は二年の真那智 蓮(まなち れん)よ。生徒会で会計をやっているの」
そう言えば生徒会関係で顔を見たことがあるかも。笹鳴さんも生徒会の書記をやっているから、その関係で知ったのだろう。
それにしても、仮にも生徒会に所属している人が万引きなんて……補導でもされたら大変だ。
「ふふふ。茜さんには何かお礼をしなくちゃね。時間はあるかしら?」
真那智先輩は私を喫茶店に誘ってくれた。
時間はある。むしろ暇を持て余していた。
それにどうにも彼女のことが気になった私は突然の申し出に応じることにした。
「ええ。真那智先輩がよろしければ、ご一緒させていただきます」
「そう言ってくれると思ったわ。さあ、行きましょう。美味しいフロートを出すお店があるの」
彼女は後頭部でまとめた髪を揺らしながら歩き出す。背筋を真っ直ぐに伸ばして歩く姿は、気品の良さを感じさせた。
私はいよいよ混乱する。真那智先輩と万引きとが、どうやっても上手く結びつかない。
万引き未遂などまるでなかったかのような錯覚。
考えるのは後にしよう。喫茶店で機をうかがい、聞いてみれば良い。
人で溢れる駅内をするすると歩いていく彼女に、私はぴったりとくっ付くように付き添った。
……
オハナシシマショウ
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