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「うん!! 良い笑顔だ!!」
相手を褒めおだてることに躊躇がない。軟派な男だというのが第一印象。
「ところで柳瀬さん、こちらにはどういったご用件で?」
真那智先輩が話を向ける。
どうやら先輩は柳瀬という男を早く追い払いたいらしい。
それが伝わったわけではないだろうが、男は腕時計を見て慌て出した。
「いっけね! 待ち合わせに遅れるじゃん! もう行かなきゃ! じゃあ、申し訳ないけどもう行くね! またね、香子ちゃん! 蓮ちゃん!」
そしてあっという間に私たちの前から立ち去っていった。
その後を小太りな男性が付いていく。気付けなかったが、小太りな男性はずっと後ろで控えていたようだった。
二人が見えなくなってから、隣で真那智先輩が小さく溜め息をついた。
「ごめんなさいね……気分を悪くしちゃったかしら?」
どうして真那智先輩が謝る必要があるのだろうか。
「いえ、平気です。それより、あの人達は一体……?」
「あの軟派な方……柳瀬さんは昨年、生徒会長をやっていたの。その関係で今でも生徒会にはたまに顔を出すの」
そういうことだったのか。
柳瀬先輩をよく思っていなさそうな真那智先輩にとっては嬉しい話ではないのだろう。
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