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「それと、もう一人の方は埒 陽大(らち ようだい)さんよ。何というか、その……柳瀬さんのお友達の方……かしら」
いささか不釣合いな二人が友人関係にあるかどうかは疑問だった。
それは、真那智先輩の言葉の濁し方から窺い知れるのだが。
「ただ……」
話はまだあった。それに、先輩が真剣な顔つきに変わる。大事なのはこれからということか。
「あの人達には気を付けてね」
先輩は真面目に忠告してくる。その言葉が重みを持って私にのしかかる。
「それは……どうしてですか……?」
反射的に聞き返してしまう。私も緊張していた。
「今の生徒会長のことは知っているかしら」
聞かれて思い出してみる。
現生徒会長は舘峨家 聖奈(たちがや せいな)という二年生の女生徒だ。
良家のお嬢様で、派手な顔立ち、茶色がかった縦ロール、身にまとうアクセサリーの多さ、とにかく豪奢な生徒会長である。
噂によれば、クラスでいつも中心にいるような女王様な人で、彼女を怒らせると学校に居られなくなる……とまで聞く。
「はい。舘峨家先輩ですよね。でも、それと何の関係が……」
「舘峨家さんは柳瀬さんにとても好意を抱いているの」
その時点でだいたい理解は出来た。
けれど、あえて続きを聞くことにした。
「ただ柳瀬さんはああいった方でしょう。特定の人は作らないというか……誰にでも手を出しちゃうのよ。茜さんは可愛いから特に気を付けないないと駄目よ」
それは聞き捨てならなかった!! というより慌てた!! 顔が熱くなる!!
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