第一章:虚構の番人

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「それと、もう一人の方は埒 陽大(らち ようだい)さんよ。何というか、その……柳瀬さんのお友達の方……かしら」 いささか不釣合いな二人が友人関係にあるかどうかは疑問だった。 それは、真那智先輩の言葉の濁し方から窺い知れるのだが。 「ただ……」 話はまだあった。それに、先輩が真剣な顔つきに変わる。大事なのはこれからということか。 「あの人達には気を付けてね」 先輩は真面目に忠告してくる。その言葉が重みを持って私にのしかかる。 「それは……どうしてですか……?」 反射的に聞き返してしまう。私も緊張していた。 「今の生徒会長のことは知っているかしら」 聞かれて思い出してみる。 現生徒会長は舘峨家 聖奈(たちがや せいな)という二年生の女生徒だ。 良家のお嬢様で、派手な顔立ち、茶色がかった縦ロール、身にまとうアクセサリーの多さ、とにかく豪奢な生徒会長である。 噂によれば、クラスでいつも中心にいるような女王様な人で、彼女を怒らせると学校に居られなくなる……とまで聞く。 「はい。舘峨家先輩ですよね。でも、それと何の関係が……」 「舘峨家さんは柳瀬さんにとても好意を抱いているの」 その時点でだいたい理解は出来た。 けれど、あえて続きを聞くことにした。 「ただ柳瀬さんはああいった方でしょう。特定の人は作らないというか……誰にでも手を出しちゃうのよ。茜さんは可愛いから特に気を付けないないと駄目よ」 それは聞き捨てならなかった!! というより慌てた!! 顔が熱くなる!!
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