第一章:虚構の番人

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わ、私は自分が可愛いかどうかなんて分からない!! だって自分の容姿なんて判断できない!! それに私より真那智先輩の方が清楚だし、スタイルだっていいし、男の人は先輩のような人に惹かれると思う!! うん、絶対そう!! 「ふふふ……やっぱり可愛いわよ、茜さん」 顔から湯気が出そうだった。 もう本当にやめてください。私、あまり褒められるのに慣れてません。 「そ、そんなこと……」 ありません。と言おうとして思いとどまる。 私は何を慌てているのだろう。容姿について言われたせいで取り乱してしまったが、大事なのはそんなことじゃない。 現生徒会長である舘峨家先輩は柳瀬先輩のことが好き。 そして、その柳瀬先輩と何かあれば、それはつまり、舘峨家先輩の逆鱗に触れることになる。 おそらく舘峨家先輩は今、学校の中で最も敵に回したくない人だ。 充分に気を付けなければいけない。 「分かりました。教えていただいてありがとうございます」 今度こそ本当にお礼を述べた。 それを受け取り、満足そうに笑って頷く真那智先輩。 不穏な話はこれでおしまい。 私達はそれから少しお喋りをして別れた。結局、万引きについては聞けなかったが。 真那智先輩と別れてから、私は電車に乗ることにした。 もう辺りは暗くそろそろ帰らなければいけない。 本当はすごく嫌だけど…… 仕方ない。 私は帰る道すがら、心を体の奥深くに沈めていった。 心を殺して、辺りの闇に同化する…… イチニチガオワル
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