第零章:悲劇の亡失

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自分の体が風を切る 何の道具も使わず行うには難しいことだと思う 本当に? だって、私は今、確かに風を切っている バイクに乗っているわけではなく オリンピックに出られる程、早く走っているわけでもない ただ ただ落ちているだけ 建物の七階から落ちる たったそれだけのことで、人は自身の体で風を切ることが出来る 意識は遥か遠く 忘失の彼方へと 誘われた
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