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夏休みの初日。
結局、私は学校に来る羽目になった。
迂闊なことにノートを教室に忘れてしまった。これがないと夏休みの課題が出来ない。
とは言え、元より外出する予定だったのでそれほど苦ではない。
ノートを取ったら図書館でも行こうかな、と思案していた。
校門を抜けると、昨日まで私が通っていた校舎が目の前にある。
部活動や同好会の活動もあるため、基本的に学校は開放されている。だから、入り口に鍵が掛かっている心配はない。
でも、妙な感じだ。
人の気配がなく静か過ぎる。
時間的には正午をまわっているのだから、誰かいても良いと思うのだけれど。
不安も束の間、玄関に入ると人がいた。
安堵の息が漏れ、自分の心配が杞憂なのだと恥ずかしくなった。
自分を安心させてくれたという独りよがりな親しみを覚えた私は、そこにいた女子に声を掛けていた。
「こんにちは。部活ですか?」
私の声に反応した女子は、こちらに顔を向けた。
心ここにあらずといった生気のない目に、私は内心で息を呑む。
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