第二章:不通の節理

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だがそれも一瞬だった。 私と目が合うと、女子は目を大きく見開き驚愕の表情をしたあと、うっすらと笑みを浮かべた。 「部活じゃない。アナタはどうして学校に?」 とても淡々とした口調だった。それでも、私との会話をどこか楽しむといった雰囲気が感じられる。 「私は忘れ物を取りに来ました」 「敬語を使わなくていい。アナタ、一年生でしょ。だったら、ワタシと同じ歳」 女子に言われて、私はたじろいでしまった。 見た目の印象から上級生だと思っていたからだ。 彼女は、どこかどうと説明は出来ないが不思議な印象の美女だった。 しなやかな黒髪を肩まで伸ばし、前髪は切りそろえてある。 落ち着いた態度からも、とても同級生とは思えないほど大人びていた。 何より…… 私は彼女を知らなかった。こんな目立つ容姿の人間を見たことがないというのは、交友関係の広さを自負する私にとって屈辱だ。 もしかして、登校拒否の生徒だったりするのかしら。 何にしても、彼女が敬語を使うなと言うのなら、私はそれに従うまでだ。
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