第十章:真実の落花

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「そのままの意味よ。今、ワタシ達が立っているこの場所のこと。 物理的には校舎のこと指していると思ってもいい」 「……で、校舎が私の願いを叶えてくれたってこと? まるで校舎が意思を持っているみたいな言い方ね」 「意思、とは少し違うけれどね。 学校というのは、不特定多数の人間が集まる場所の中でも特異な存在なの。 様々な人間の思考や感情が溜め込まれやすく、変質しやすい。 だから必然的に、不可視のエネルギーみたいなものの力場が発生するの」 「……? えぇっと……」 「無理に理解する必要はない。曖昧で漠然としているから言葉では説明が難しい。 とにかく、校舎は現実を歪めるだけの力と、それを行使する意思を持っていると思ってくれればいい」 私は取りあえず頷いておく。
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