第十章:真実の落花

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「…… その話を信じるとして、どうしてこの学校が私の願いを叶えてくれるの?」 「それは、アナタが誰よりも虎青高校を愛しているから」 美奈穂の言葉は私の虚を突いた。 「アナタは皆が楽しい学園生活を送れるように、日々、気を配り続けた。 誰もが学校を好きになるよう、努力を惜しまなかった。 そんなアナタを、虎青高校はきちんと見ていた。 そして、アナタの努力を受け入れたの。 例え、動機が暗い家庭環境に起因するのだとしても……学校を唯一の居場所とし、アナタの抱いた情熱と想いは、本物だと認められたのよ」 ……不意に視界が歪む。 気付けば、私の眼からボロボロと涙が零れていた。 「茜さん……」 笹鳴さんが心配そうに声を掛けてくれるが、私は左手を前に突き出して問題ないと意思表示する。 「別に悲しいから泣いているわけじゃないの。 私……嬉しくて……」 私は自分の居場所を失わないために、可能な限り手を尽くした。 クラスメイトの面倒を見るのは当然のことで、教師の手伝いも掃除も何だって、人一倍頑張ったつもりだ。 青春時代の貴重な時間を虎青高校に捧げた、なんておこがましい事は言わない。全ては最上の学園生活を送るためだったから。 だから、努力が認められたい、なんて少しも思っていなかった。 誰からも評価されなくてもいいと思っていた。 ……けれど、私を見てくれていた存在がいたのだ。それも、他ならぬ虎青高校が。
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