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瞼が重い。
目を開けるのが酷く億劫だった。
でも、体の節々が痛むし、何だか肌に当たる冷たくて堅い感触が気持ち悪いし……
仕方ないか、と面倒臭い気持ちを抑え、ゆっくりと目を開ける。
「あ、あれ? なんで私、こんな所に?」
何故か私は虎青高校の校庭に寝転がっていた。
道理で寝心地が悪いはずよ。コンクリートの地面で休めるわけがない。
「というか私……今まで何していたっけ?」
夕焼けの空は既に時刻が七時近いことを語っている。
私が学校に忘れ物を取りに来たのは正午過ぎ。そこから、自分が何をしていたのか、全く思い出せなかった。
気付くと、忘れ物のノートを手に持っていた。でも、なんで鞄も何も持ってきていないのよ、私。ノートを裸で持ち歩くのって、ちょっと恥ずかしいのだけど。
そこはかとなく気味が悪くなり、両方の上腕を擦る。
「はぁ……」
記憶障害なんて経験したことがなく、ちょっと自分の健康状態が不安になった。
何より、時間を無駄にしてしまったことが痛い。
せっかくの夏休みの初日だというのに、もう家に帰らなければいけないのか……
あの家は私にとってただの牢獄だ。そして、あの家にとって私はただの囚人でしかない。
そりゃ溜息だって吐きたくなるわよ。
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