第二章:不通の節理

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…… 私のような一般の生徒は入る機会が滅多にない生徒会室。 無論、私としても入室するのはこれが初めてであるが、やはり、どこか神聖な雰囲気があり、同時に拒絶感を感じる。 執務用の長机の上には雑多な書類が所狭しと置かれており、職員室と同じく職場といった印象だ。 ただ、手狭な部屋のど真ん中に置いてある大きな丸テーブルの周りだけが、異質な空間だった。 聞けば、あまりに殺風景な生徒会室に嫌気が差した舘峨家先輩が持ち込んだものだそうだ。 さすがは金満家のお嬢様、と言ったところだが、私が座っているのがまさにその丸テーブルだった。 「あの、淹れるのは紅茶でよろしいですか?」 「貴女は何もしなくて結構よ。私(わたくし)が用意しますから、大人しく座ってなさいな」 「は、はいぃぃ……」 軽く厄介払いされた笹鳴さんはとぼとぼと私の隣の席に座る。 「舘峨家さんは紅茶にこだわりを持っているから、他の人には任せないの。だから笹鳴さん、気にすることないのよ」 笹鳴さんの対面、つまり私の左隣に座る真那智先輩がすかさずフォローを入れる。 (というより、笹鳴さんがやると食器とか割りそうだからじゃないかな) と、心中で突っ込みを入れる。さて、笹鳴さんは何をいれてくれるのかしら。泣き?
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