第二章:不通の節理

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ところで、先程から気になっていた事がある。 それは、私以外の部外者の存在。 入室した時から彼等は部屋にいて、しかし、私を一瞥したきり何のアクションもない。 だから、彼等に対してどう対応していいのか決めあぐねていた。 「あの、真那智先輩、あの人達は……」 堪えきれず、私は頼れる先輩にこっそり聞いてみた。 言われて気付いたのか、真那智先輩は少し驚いた様子を見せた。 「ああ、あの人達は舘峨家さんのお友達よ。紹介も何もないってことは、構うなってことだと思うの」 「そうでしたか」 小声のやり取りの間も、彼等、二人の男女は虚空を見ているだけだった。 触らぬ神に祟りなし。神と言えるほど高尚には見えない二人だけれど、とにかく構うことを望んでいないのなら、私はそれに従おう。 それから暫くして、舘峨家先輩がお盆を持って帰ってきた。お盆上のカップからは湯気が立ち昇っている。 「お待たせしましたわ。ハーブティよ、どうぞお飲みになって」 意外にも甲斐甲斐しくカップを私達の前に置いていく。ソーサーとティースプーン付きだが、大きな音を立てない。できる。
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