第二章:不通の節理

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私が来期の生徒会長に? 舘峨家先輩の言ったことを反芻する。 どういうつもりなのか、彼女の腹積もりは読みにくい。 私を高く評価しての発言ではないはず。 だとしたら、嫌味かしら。……いえ、そうじゃないわ。 あるいは…… 嫌な考えが頭をよぎる。 あるいは、私を生徒会長にすることで自分の勢力に加えたいのか。 大学受験を考慮し、生徒会長は二年生が就任する。そのため、任期を終えた翌年も在学していることになる。 必定、学年でも生徒会でも上位の存在になるため頭が上がらないのだ。 つまり、舘峨家先輩は確かな上下関係、いや、主従関係を築きたいのだ。 ……とまあ、小耳に挟んだ程度の噂話から立てた憶測なので、確証はないのだけれど。 これらの考えを一秒にも満たない時間で張り巡らせたが結局、最善の返答は思いつかなかった。 扉が開かれたのは、まさに私が適当に取り繕ったことを言おうとした瞬間。 全員の意識が新たな来客に向く。 ひとまず猶予ができたことで、私はそっと胸を撫で下ろす。 まさに渡りに船。 ではなかった。むしろ、黒船来襲だった。
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