第二章:不通の節理

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「やあやあやあー。聖奈ちゃん、お邪魔するよー」 「えっ!! み、一晃さん!!」 舘峨家先輩にとっても突然の訪問だったらしく、酷く慌てている。 やってきたのは、あろうことか柳瀬一晃。 昨日、真那智先輩から危険人物だと聞いたばかりなのに……、しかも、この最悪のシチュエーションで。 「突然こめんねー。はぁい、蓮ちゃん、初嘉ちゃん。っと、あれ?」 マズい……、早くもロックオンされてしまった。 「おっ、おっ、おぉー!! 香子ちゃんじゃないか!! いやいやホント、どうしたの!? 何でこんなとこに!?」 ぐっ、ぅ…… 顔が強張っているけれど、上手く笑えているのかしら、私。 一言二言しか会話していないのに、名前を憶えられているとは。 あまり関わりたくない私としては、こんにちは、と最低限の挨拶で済まそうとした。が、追撃は免れなかった。 「二日続けて会うなんて奇遇としか言いようがないよね。それとも、もしかして、僕に会いに来てくれたとか?」 その可能性はフォトンの質量と一緒よ。
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