第一章:虚構の番人

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……………… 墓地には、肝試しのつもりで入っただけだった だから、この声も友人の悪戯に違いない オイデ……オイテ……オイデ 不気味な声が、地を這うようにして少年に擦り寄ってくる 「お、おい……誰だよ……。あんまり驚かすなよ……」 月は黒雲に沈み、辺りには静寂ととも暗闇が訪れている 光源は、手元の心許ない懐中電灯のみ オイテ……オイデ……オイテ 恐怖が少年の喉下からせり上がって来る 悪戯と分かっていても、抗えない戦慄 ……悪戯と信じたい オイデ……オイデ……オイデ…… 声が近い!! 「ふざけんなよ!! 出てこいよ!!」 少年の叫びが静寂を突き破る でたらめに懐中電灯を振るうが、見えてくるのは枯れ木と沢山の墓石だけ 誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ!!!!!!!! 少年の内側には恐怖、怒り、孤独、絶望、様々な感情が渦巻いていた
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