第一章:虚構の番人

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放課後、部活動に入っていない私は、すぐに帰路についていた。 校舎を背に、駅への道を歩く。 夏の真っ只中ということもあり、辺りはまだ明るく、まとわり付く暑さも健在だ。 早めの帰宅は望まないが、この気温の中、外で時間を潰すのは得策ではない。 ではどうするのか考えていた時、背後から近づいてくる気配を感じた。 「茜さん。茜さんもお帰りですか?」 振り返り、声の主を見つめる。 童顔で目がまん丸く、とても愛嬌のある少女。 小柄な体つきのこともあり、子猫を思わせる。 声を掛けてきたのは、クラスメイトの笹鳴 初嘉(ささなき ういか)だった。 「そうよ。今から駅へ向かうところなの」 「そうなんですか……」 笹鳴さんは俯き、言葉を濁した。 言いたいことはあるが口に出すのは苦手。それが、おとなしい笹鳴さんの性分であることはそれとなく承知している。 だから、私が口火を切った方が話は早い。 「良かったら一緒に帰らない。笹鳴さんも電車通学よね?」 笹鳴さんの考えを予想した台詞だったが、彼女の嬉しそうな表情を見る限り正解だったようだ。 「はい。電車は別方向だけど、駅まではご一緒できます!」
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