~はじまり~

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普段は全くする事のない昼寝から覚めた どうやらもう日が暮れる頃だろう、赤い陽射しが俺の目に射し込んで来る 少し頭痛がするかと思うと、右手に妙な違和感と何かの気配… いや、殺気のような身の毛もよだつ感覚 ふと左腰にある鞘に触ろうと右手を… !? 何故か右手は、指先から手首まで壺の形の怪物に噛みつかれていた 壺はよほどの顎力なのだろうか、引っ張ってもまるで抜ける気がしない 仕方なく、殺気を出してあるであろう何かを刺激しないように、崖の先にあるレールという町に行くことにした そうして、できるだけ足音をたてずに森を抜け崖にまで来た しかしあっちも獲物が自分のテリトリーから逃げようとしたと思い、姿を表し追いかけて来た 「なぬっ」 そいつの姿をみて思わず声が漏れた 全長は俺の約4倍近い5メートル半ぐらいはある、丸い胴体の頭無し顔は胸らしき部分に口と目がある… ずっとみていると頭が痛くなりそうだ… 右腕は第一関節から刃物のようになっていて、それを地面にえぐらせながら追いかけてくる (いつもならこんなやつ…) と思いながらも、右手が使えないという事実は変わらなかった 左手も多少は使えるが、俺はコレを右手でしかつかえない そんなことを考えながら、左腰の鞘を握った 逃げるしかないそう 思った時、目の前に使えそうな木の枝が… すかさず拾いヤツに降り下ろす 「らあぁぁっ!」 木の枝は丸デカ(第一印象)の刃物を真っ二つにして同時に根元を残し粉砕した。 「しゃぁぁっ」 声に出し丸デカは、一瞬足を止め、その隙に俺は逆方向の崖に向かう 地面をえぐる音が一瞬止んだあと、その倍ほどの音が… 振り返りたくないが、仕方なく振り返ってみると… 予想通り丸デカは追って来た しかも刃物の先の部分を左手で持ち、両腕で地面をえぐりながら追いかけてくる (最初から思ってたけど、刃物カンケーネー…) 崖の方に向きを直して… 飛び降りるっ というか少し下に飛びうつる。 後ろを見ると、さすがに丸デカはもう追って来ないようだ。 俺は、目前に見える町に足を向けた。 (結局あの丸デカにまた会わなきゃ駄目なのか…)
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