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恐らくこの骸骨はさっきの厨二な発言を本気にしてぶるってるってところだろう。顔に骨しかないのであっているかは知らないが。
ここはこの立場を上手く使っていくか?
いや…、表情が分からない相手だ。もし恐怖で震えているのではなく怒りから震えているのだとして、上から話したら間違いなくまずい。
取り落としたであろう鎌は床に刺さる時に音を経てなかったことから、切れ味は相当なものだろう。
そんな鎌を持った死神と戦闘になりでもしたらまるで勇者がスライムをサクッと狩るかの如く一瞬で切り捨てられる。
むしろスライムで例えるのもおこがましいかもしれない。 道ばたの石ころも同然だろう。
よし、ここは路傍の石ころのように慎ましく、紳士にいこう。
「おい、お前は何をしにここに来たんだ?」
し、しまったぁ…。まだ厨二病が抜けきってなかった!!俺の馬鹿!
焦った俺はびびって口をつぐんだ。
「そ、その。 危ないことはしないので、まずはお話を聞いて頂いてもよろしいでしょうか!」
………。
この骸骨、やたら丁寧な態度だ。声音も聞き間違いでなければ気品があり、綺麗で澄んだ女性の声である。
もしやと思っていたのだがこの骸骨は女性らしい。いくら骸骨とはいえ真摯な態度を取るのであればしっかり応じなければ。
「なるほど。 そういうことでしたら脅して申し訳ありませんでした。 そう固くならずとも楽にしていいですよ」
「はい。 それではお言葉に甘えまして…」
そう言ってその場に綺麗な正座をした骸骨。先ほどの厨二発言は上手く流れたようだ、助かったぜ…。
それにしてもこの空間シュールすぎワロタ。
「それでは本題を。今回斎藤啓様には異世界を調律する仕事をお願いするために来ました」
「…は? 異世界とか何言ってんのこの骸骨ありえな…くないか。 目の前で骸骨がしゃべってるし…あ、失礼」
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