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「…ここは…?
そう…か、そうか…!
来たんだ、ついに
この世界に…!」
我ながら興奮するのも
無理はない。
なんせあの行きたいと
願ってたあの世界に。
今、俺は立ってるのだから。
俺は不器用ながら
身体を動かす。
「…すげぇ…
これが完全ダイブか…。」
現実世界のようにしっかりと
動く手先一つ一つや
景色を見ながら改めて
《浮遊城アインクラッド》
この世界の偉大さを
噛み締めていた。
俺がこの世界に来た理由は
述べるなら今は二つだ。
8年前に現れた
この世界に関しての疑問。
当初はありえないと
思っていた。
現実世界の死とこの世界
での死が一緒だという事を。
「んなバカな話が
あるもんかよっ」
テレビを見ながらそんな事を
口にしたのを今でも
鮮明に思い出す。
だが現実は皮肉な物で
ゲームクリアされた頃には
約4000人がこの世界から
消えていった。
なぜ…こんな物を
生み出した…?
その真意はきっと
この世界から帰ってきた
プレイヤー全員も
未だ知らないはずだ。
きっと俺はこの世界の
存在意義とやらを
知りたかったんだろう。
理由なんて無い。
無駄に心に秘めた探究心
とやらには正直自分でも
呆れてしまう。
そしてもう一つ。
最前線に立ちゲームクリアに
最も貢献したという
いわば救世主な存在。
残念ながらその有名人に
関しては細かな情報が
ほとんど無かった。
ただ一つ分かる事は。
ユーザー名『キリト』
「…この人に会いたい。」
心の中に出てきた感情は
言い包める事は出来ない程に
抑えられなかった。
我に返りふと思いだす。
「…あ、やべ!
もうこんな時間か?!」
…しまった。
思いふけていた事で
友人とゲーム内で落ち合う
約束をすっかり忘れていた。
「急がねぇとまた
うるさく言われるな…。
えっと…場所は確か
『始まりの町』だっけか。
…よし、さっさと行くか。」
地面を勢いよく蹴り
俺は集合場所である
始まりの町に歩を
進めていった。
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