どうせならぬるま湯で。

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テーブルの上にぽた、ぽた、と滴が落ちる。 気づいたら顔面水浸し。 目の前の女性はバックを乱暴に掴むと アンタみたいな女嫌いなんだよね。 と吐き捨てていった。 隣に座る彼の顔は真っ青で間抜けている。 何が起きたのか一瞬、理解できなかった。 大丈夫ですか、と 店員さんが慌ててタオルを持ってきてくれた。 今日初めて会った人に水をぶっかけられたのだ。 ファミレスのような公共の場で 何が悲しくてこんな悲惨な光景を晒さなければいけないんだ。 幸い服にはあまり被害はなく 化粧品は全てウォータープルーフに限るな、と今時の化粧品の性能に感心した。 「…瑠伊、ご、ごめん。」 私たちは周囲の視線を痛いほど浴び、 店を出た。
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