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「じゃあえっと、七瀬は何処から来たの?」
「んー、たくさん歩いて気付いたらあの浜辺にいたのでよくわからないです」
「よくわからないって……帰るところは?」
「あるにはあるんですけど、私あそこには帰りたくないです」
「両親と喧嘩でもしたの?」
「両親はいないです。えっと、私がいたところには同い年くらいの子供がたくさんいて、それで……」
そこまで喋ったところで七瀬は頭を抑えてうずくまった。
「うぅ……頭が痛いです」
「大丈夫!? えっと、無理に思い出さなくていいから」
想像でしかないけど、七瀬はきっと孤児院かなんかの施設にいたんだ。
そこでなにか嫌なことがあって、施設を飛び出して来てしまったんだろう。
しかしどうしたものか。普通なら警察に届けを出さなきゃならないんだろうけど、もし七瀬が施設でいじめられてたんだとしたらそこに帰すのも僕には正解だとは思えない。
考えた末に、僕はとりあえず父さんに相談をすることにした。
「ちょっと待ってて」
そう言ってから部屋を出て、父さんに電話をかける。
忙しく働いているはずなのに僕からの電話はすぐに出てくれる。いい父親だ。ちょっと、いやかなり頭おかしいけど。
『なんの用かね愛する我が息子よ』
「父さん……今会議中なんじゃないの? 恥ずかしいからやめてよ」
『なにを言う。私は隼人と世界中の美少女達をこの上なく愛している。この気持ちを恥じることなど必要などありはしないよ』
「いや、恥ずかしいのは僕なんだけど……まぁそれはいいや。あのさ、父さんの好きな美少女のことでちょっと相談があるんだけど」
『ふむ、詳しい話を聞こうか』
ダメだこの人早くなんとかしないと。
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