蒼空

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春、桜が咲き乱れる京都嵐山。 そこに、彼はいた。 「はぁ、花見酒もなかなか乙だな…。」 「蒼空さん、また来とるんですね。」 「あ、咲さん。昨日ぶりですね。」 「もう、昼間からお酒なんか飲んで…。そんなんで刀振れるん?」 「あはは、女子に刀の心配をされるとは…。なかなか面白いものですね。」 少年は笑って、また酒を煽る。 歳は15くらいだろうか。 まだ幼さの残る顔は中性的で整っており、笑うと三日月の様に曲線を描く瞳は優しく眼前の少女を見つめる。 そんな少年の視線に、少女は頬を染めた。 「心配したくもなるでしょう。いくら蒼空さんが酒豪でも、酔った人に刀振り回されたら怖いし。」 少年はそんな少女に気付きもせずに、たしかにその通りだと笑う。 この少年は、名を雨晴蒼空(アマハラソラ)といい、細身の身体には見合わぬ立派な大小の刀を腰に差す、侍である。 .
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