11人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
目の前の「コレ」は天災と同じだ。
いやそれ以上にタチ悪いか…。
これは出来の悪いB級のゾンビ映画だ。
「エンディングはハッピーエンドでお願いしたいね、全く」
走りながら1人愚痴る。
朝目が覚めたら街はパニック、死者が溢れかえりーーーってのがゾンビ映画のお決まりだが、現実にパニックが起きてみると対して映画と代わり映えしなかった。
「もしもし!今どこだ美希っ?」
幸いまだ電話は通じる。家族のいない俺が真っ先に電話を掛けた相手は幼馴染の美希。
お世話になっている孤児院の院長先生の1人娘で高校の同級生。
『もしもし?どうしたのよ』
どうやらまだ無事だったらしい。信じて貰える訳はないが目の前で起こった事をありのまま話す。
『…暑さでどうかしちゃったの?』
「今、学校か?」
『テニスの試合って昨日言ったばっかりでしょ』
ここから学校まで1kmも離れてない。
電話を切り、学校へ向かい走り出した。
後ろは地獄絵図。警察や自衛隊の対応はずっとずっと後になるだろう。
少なくとも映画ではそうだ。
「どけ!」
目の前を阻む死者を蹴り飛ばし、商店街を後にする。
ああ、つい数分前の世界に戻りたい。
最初のコメントを投稿しよう!