あの人と私

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まさか死んでないよね……? 無視する訳にもいかず、一歩一歩その人に近づいてみる。 近づけば近づく程、公園には不釣合いな人物だと思った。 仰向けに横たわるその人は、質の良さそうなピンストライプ柄の黒いスーツを着ている。シャツにもぴしっとノリがついていて、しわ一つ無い。 ネクタイもまた品の良いワインレッドのものをつけている。履いている革靴だってピカピカに磨かれているのだ。 そして何よりその顔。 20代後半だろうか、いや30代? すっと通った鼻筋に、彫刻のように彫りの深い目元。形の良い唇。 目を閉じていてもわかる美しさ。 イケメンなんて安っぽい言葉じゃ言い表せない。 眉目秀麗。まさにその言葉が当てはまる。 「うわ………こんなに綺麗な男の人っているんだ……。」 思わず異様な光景ということも忘れて魅入ってしまう。
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