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6月
私の高校は、6月に文化祭がある。
彼は7月初めまで演劇部に入ってて、文化祭の初日に劇をした。
何で演劇部かっていうと、彼の将来の夢は『俳優』だから。
それを聞いた時、『なんて自信家なんだ』って思ってたけど、違った。
だって、彼は客観的に見てかっこいいから。
入学したての頃、高校の友達とメールしてた時に彼のことをかっこいいって言ってきた人が何人もいるくらいだもん。
その時は、『そんなにかっこいいかな』だなんて思ってたけど、そんなにかっこいいんだよ、これが。
文化祭の1日前に昇降口でたまたま会って、彼は劇の荷物を持っててその荷物を私に向けて、銃みたいに“ばんっ”てしたの。
君のハートにチェックメイトって感じで。
とりあえず、私は彼に心を射止めれたってわけ。
そんなことされた私は1人で有頂天で気持ち悪いぐらい、にやにやしながら家に帰った。
文化祭当日。
彼は劇の最後にほんの少しだけ出た。
正直もっと見てたかった、彼の演劇姿。
好きな人演劇姿なんてなかなか見れるもんじゃない。
だけど、劇が終わって演劇部全員で挨拶した後に彼ね、
もう1度私に向かって“ばんっ”てしてくれた。
今度は、指で。
嬉しかった、何十人と人がいる中で私に向かってしてくれたんだから。
この時期が1番幸せだったかもしれない。
メールもよくしたし、何より距離感が良かった。
私達の関係が少しずつもつれていったのは距離が近付きすぎたからかな。
ただ私に嫌気がさしただけだったら、ちょっと悲しいな。
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