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夏美を乗せた救急車は病院に到着した。
直ぐに集中治療室に運び込まれて緊急の手術が行われた。
父親のアキラが仕事を投げ出して駆け付けた。
集中治療室にランプが灯り手術が始まった。
父親は外科のナースステーションに行き、娘の怪我の具合を聞いたが教えてくれなかった。
まだ搬送されたばかりなので解らないらしい。
父親は手術前の待合室に入ると、クラスメイトの麻美ちゃんが泣いている姿を見かけた。
父親は麻美ちゃんに問いかけた。
「麻美ちゃん、娘の怪我の容態はどうでしたか?」
しかし麻美ちゃんはパニック状態に陥って訳の解らない言葉を発していた
「きっと大丈夫よ…」
「夏休みに一緒に海に行こうね…約束だから…」
「夏祭りに行って金魚すくいするんだからね」
ぶっぶつと独り言を呟いている。
そんな麻美ちゃんの傍に近寄り「麻美ちゃん有り難う…娘の為に手術を見守ってくれて居るんだね」
と感謝の言葉を伝えた。
それでも麻美ちゃんはまだ涙流しながら下を向いて何やら呟いていた。
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