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※何かの夢の一部分
※私は空気としてその場に存在していた
【赤ノ夢】
真夜中の都会の路地。
暴力団だか何かだか、とにかく気性の荒い男の前に、いつからそこに居たのか――学ラン姿の高校生らしき少年が一人立っていた。
男は苛立っているようで、少年を見た途端、何やら喚き声を上げながら少年に殴り掛かろうと襲い掛かってきた。
次の瞬間、少年を殴ろうとしていた男が不意にその動きを止めた。
その顔は先程の様子とは裏腹に、みるみる内に恐怖の形相へと変わってゆく。
目の前の少年が――
薄く微笑みながら、手に「ナイフ」を握っていたからだ。
恐怖に怯え、その場から逃げ出すことすら出来ない男を――
少年は「分割」した。
アスファルトの地面に転がり落ちる肉のパーツと、広がり始める血溜まり。
男の命乞いを一切無視した少年。
やがて少年は上機嫌な顔をしながら背後を振り返り――
「空気」である私の首筋を素早く切りつけた。
私(空気)は周囲に真っ赤な血のシャワーを撒き散らせながら、自ら生み出した赤の世界の中へと堕ちるように静かに沈んでいった。
【END】
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