いただきます

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「手を、つないでもいいかな?」 怖ず怖ずと、お兄ちゃんが、広い室内の中央に置かれた椅子に座るに人形に語りかける、もちろん、人形が答えるわけもないけれど、お兄ちゃんは、うんうんと頷き、人形の手を取りそのまま、軽い口づけを落とす。 「ありがとう」 私は、その光景をぼんやりと眺める、チェニックワンピースに黒のレギンスの出で立ちに、手入れを欠かしたことのない黒髪が腰の辺りでサラサラと揺れる、精一杯のおめかしでお兄ちゃんに会いに来たのに。 お兄ちゃんとって、景色の一部しかないのだろう、辺り一面、ぐるりと囲うように多種多様のラブドールが飾られ様々なおめかしをしてもらい安置されたているのだから、無数の作り物の目が私を突き刺す、お邪魔虫と見られてる、気分。 実の妹である私の精一杯など霞んでしまう、お兄ちゃんに相手にしてもらえないというのは、小説で有りがちで、わかりきった事柄だった 兄妹愛なんて、詭弁で嘘っぱちなんだ、わかってます。 再度、確認してみて、ギュッと服の裾を掴み、奥歯を噛み締めた、悔しい。 お兄ちゃんは、生きた人間になんて興味がない、愛着がない、意識がむかない、好きの反対は、嫌いじゃなくて無 関心、お兄ちゃんは、人形が好きで愛してるんだ。
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