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汚い嫉妬心が吹き出す、お兄ちゃんに話しかけられる、人形をぎりぎりと睨みつける、羨ましさがマグマの如く、噴火する。
「どうかな、お兄ちゃん、今回のお人形は?」
それでも、お兄ちゃんの前では、いい妹でいたくてニッコリ笑う。
「え? ああ、この前みたいに首が曲がってなくてよかったよ、ありがとう、歩」
「うん」
頷きながら、それって生きてた人間の死体だよって言ったら驚くかな、ちょっとだけ悪戯っ子を真似て舌を出す。
お兄ちゃんは、私と目を合わせないで、目の前にある人形に語りかけるついで言ったようだ、いや、そもそも、私がここに、この部屋にいること自体、知らなかっかもしれない。
たくさん飾らられた、人形の一体と見られていたかもしれない、人形というのは、好きになる対象じゃない、愛する相手なれないのが私の見解、愛玩はされても、愛撫はされても、人の形をしていても人にはなれない、所詮、物だから、人形なんだけれど、お兄ちゃんには通じない。
お兄ちゃんの邪魔にならないように、部屋の扉をそっと開け、長い廊下に出た。
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