いただきます

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名門、早坂一族の長男、長女として生まれた私達、兄妹の待遇は天と地くらいの違いがあった、後継ぎの資格がある、お兄ちゃんと、後継ぎの資格もなければ、女である、妹の私、はっきり言って、どちらが大切かと問われるなら、子供でもわかる。 大切なのはお兄ちゃんで、私はそのお手伝いくらいの扱いだった。 「でも、まぁ、終わったことだけど」 とんとんと、長い廊下を私は歩く。 時代錯誤も甚だしい、時代劇じゃないんだから、兄妹を平等に扱うべきなんて一般的な考え方は、早坂一族の重鎮連中にはなかった、彼らにあるのは、築き上げてきた世間体と地位、名誉、財産を守り末永く続く一族の未来繁栄に対する、醜く凝り固まった執着のみ。 だからって、兄妹二人で駆け落ちなんてドラマチックな展開はなく、お兄ちゃんの性癖が問題視されたのが、この軟禁生活の始まりだった。 良くも悪くもお兄ちゃんは、後継ぎなんて一切合切、頓着しないで、人形を愛で続けた、家系も級友も学業も、そして、妹の私も、お兄ちゃんとってくだらない事にしか過ぎず、一族の目の上の瘤になるのは時間の問題だった。
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