ある雨の日に

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次の日は雨だった 余談ではあるが、俺は雨の日の空気の匂いが好きだ 胸一杯に吸い込むと、肺にたまっていた淀んだ空気が消えていく気がする 教室の窓から、降り続く雨をボーッと眺めていると、後ろの席の男子から肩をつつかれた 「おいカケル、お前にお客さんだ」 「その某目玉のお父さんみたいな声の掛け方はよせ、大和」 椎名大和。二年の時から同じクラスで、一応一番仲のいい男子だ 「で、お客さんって誰だよ」 「ドアのとこ、橋本さん」 …げっ 振り返ってドアのところをみると、見知った顔がこちらを覗いていた 俺は速やかに席を立ち、待ち人の元へ向かう ドアの横で仁王立ちしていたのは、橋本 紗妃だった
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