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「つまんねぇな。そろそろ帰ろうぜ」
楓真はそう言うと、柚樹と恒太を引き連れて公園から出て行こうとする。
「ち、ちょっと待てよ。俺も行くって」
三人について行こうとする和人の腕を母親が強く掴んだ。
「何すんの?」
「和人は帰るの」
一体、何様だと想っているのだろう。ただ、母親というだけでいつもいつも命令する。俺はもう、一人でなんでもできる。
和人は少しずつ歩き始めた楓真達の背中を見つめた。
友達がいなくなる――。
「るっせぇんだよ!俺はいつまでもガキじゃねぇんだよっ!!」
母親の顔を殴ると気分がスッキリしてくる。
「カズちゃんヤるぅ」
恒太が喜び、和人の肩に手をおくと、倒れている母親に背を向け和人は歩き出す。
――正直、寒い。
和人は寒いのを我慢して、楓真の背中を追いかけた。
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