18人が本棚に入れています
本棚に追加
「イメージに反するわ」
「仕方ない、俺は真面目で一途な男だかんな」
「突っ込むのも疲れるもんだね」
「俺の苦労がわかったか?」
「少しはね」
こうも毎日会話をしているのに、止まらないのは余程相性があっているのか。
キッチンタイマーが音をたてて、あといれのスープをどばっと入れる。
「ユウがさ、くれたんだよ」
太一がボトルのりんごジュースを取り出した。
ユウの話をきいていたので、さまざまな思いが頭を駆け巡っていた。
あのとき、あの瞬間。
ずっとユウは太一に恋愛感情を抱いていたのだろうか。
このりんごジュースも想像を加速させる原因となる。
「……波留となに喋ったの?」
「まずは彼方のことだったな」
「俺の?」
「共通の友人だし」
頭を切り替えようと発した適当に言葉。
どんな風に自分のことを会話のネタにしたのだろうと真剣に考える。
……太一と波留が親交を深めている間に自分は。
考えかけて止めた。
「太一ってさあ、頭良さそうなのに案外馬鹿だよね?」
「いきなり振る話題おかしいだろ」
「どっちかっていうとユウの方が抜けてそうなのに」
「彼方は満場一致で馬鹿だな」
「うるさいわ」
会話を変えようとして墓穴をほったらしい。
これ以上恥をかきたくなかったので、黙って麺をすすることにした。
最初のコメントを投稿しよう!