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「やった」
思わず声に出た。
彼方と下校する途中に見てしまったもの。
それは僕に自分が抱いている気持ちを自覚させるのに充分すぎるものだった。
「楽しみだなぁ。なに着ようか」
まるで乙女みたいだな、と思う。
けれど、太一が好き。
薄々気づいてはいたのだ。
ずっと、僕に笑いかけてきてくれた二人。
家族ぐるみの仲だった二人の輪に、僕のこともいれてくれて、仲良くしてくれた。
……勿論、彼方のことも大好きではある。
だが。
太一はまた別の感情で好き。
そんな感情の正体をわからせてくれたのは、不覚にもあの見知らぬ男性二人だ。
「いってきます」
小さく呟いて、太一との待ち合わせの場所に急いだ。
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