第2章

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クレーンゲーム。 昔っから何円もつぎ込んでいるのに、景品を自力でとったのは片手で数えられるほどしかない。 「……俺がとろうか?」 「う……お願いします」 僕が千円近く使ったところで、太一にお願いするのも、いつも通り。 そして、太一はふたつ必ずとって、僕と彼方にくれる。 太一は、上手すぎるのだ。 「これがいいの?」 「うん」 「あんま見るなよ? ミスるから」 こういうけれど、失敗は見たことがない。 やっぱりすごいなあ。 そう思いながらぼーっと見つめていたら、景品を持った太一に肩を叩かれた。 「どれが欲しかったっけ」 「これこれ。ありがとね、太一」 「いいってことよ」 太一にとってもらったなんだか白い化け物のようなキーホルダー。 絶対なくさないようにしよう。 僕に一言かけて、足早にゲームセンターを出る太一の後ろ姿を追った。
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