第1章

4/11
前へ
/25ページ
次へ
「あんた、どこから来たの?」 高校の入学式当日。 電車に乗って高校につき、教室に入った俺たち3人は、出席番号順に並べられた机に座った。 3人揃って1年1組ではあったのは、多分学校側の配慮だろう。 偶然にしてはできすぎだ。 太一とユウは番号が繋がっていたが、ひとりだけ番号が離れていた俺は窓際の席に座った。 すると後ろの席の明るいやつが声をかけてきた。 「んー、桜山だよ」 そうかー、と彼は頷いた。 「よろしくな、俺は大分波留っていうの」 「俺は石川彼方。彼方って呼ばれてる」 「んじゃ、彼方な! 俺も普通に波留って呼ばれてる」 「よろしく」 いきなり打ち解けた。 後ろのやつが、明るくてよかった。 ふたりと離れてしまったし、前は女子で、喋りかけにくかったのだ。 「波留は、同中のやついないの?」 「あー、いるんだけど、あんま仲良くないってか。話したことなかった」 「ここのクラス?」 「うん。あそこの子」 波留が指差したのは、眼鏡の女子だった。 波留とは正反対のタイプだろう。 他にいるのかときくと、いないと返ってきた。 「だからさ、前が彼方でよかったわ。彼方は? 同中のやついる?」 「うん。あそこのふたり。俺だけ番号離れちゃってさ」 あとで紹介するよというと、そこで担任らしき人が入ってきた。 担任が来るなり、集まっていた生徒たちはそれぞれの席へ向かって、静かになった。 「揃ってるなー、よし、体育館行く前に名前を言っておく」 えらいごつめの先生だな、と思った。 名前は坂下というらしい。 いい人そうな担任だ。 「じゃ、行くか。退屈かもしんねえけど、寝るなよ?」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加