第1章

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「寂しい、いれて」 インターホンに反応して、玄関をあけるとこれだ。 太一がスーパーの袋片手に立っていた。 隣の昼御飯ってか。 素晴らしい。 「インスタントの麺は持ってきた。お湯だけくれ」 「なんでお前なんだろう」 「? 何がだ」 なんでもないと首を振る。 ユウがこいつを好きなのはなんでだろう。 ……元気だから? 確かに、悔しいがカッコいい。 イケメンの部類だろう。 実際に、女子にモテていた。 ふと、疑問が浮かび、太一を見る。 「……なんだよ」 「いや」 「麺なら、俺はちょっと麺が伸びたくらいがいい」 「……へえ」 的外れな答えが返ってきた。 まあ、質問していないのだが。 「太一って、彼女作らないの」 「あー、うん」 モテていたくせに、彼女がいるという噂は、本人はともかく周りからも聞いたことがないのだ。 「彼方は、いたよな」 「まあな」 連絡は、もうとっていない。 中学のお付き合いはそんなものだろう。 「俺は作らないね」 「珍しいよね。太一はとっかえひっかえしそうなのに」 「印象悪いなおい。とっかえひっかえなんてしねえよ」
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