1章 帝国衰退の時代

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「しかと心得ました。それと陛下に申し上げたいことがあります」 ライガ将軍は深く拝礼するとつまらなそうに玉座から将軍を見下ろす雷帝を見た。 「このような儀に陛下に申し上げるのはお心苦しいのですが、北方にてこのような噂が耳に入りました。何しろ陛下は国政を疎かにするばかりか仁に反するような残虐な遊びをしていると。今、帝国は中央の腐敗により遠方にて反乱が起き、本来の統治者達はそれを恐れ配下にそれを任せ自らは中央で贅沢の限りを尽くしています。このままでは反乱鎮圧に多くの術士を失い、それがまた新たな反乱に繋がります。ここは陛下自らが国政に携わり、中央より道を示すことにより帝国全体の安定が得られると存じます」 ライガ将軍は雷帝に強く訴えるものの、雷帝は長い話に飽きたのか欠伸をした。 「以上ですかな。しかしながら将軍はあくまで軍事の指導者、国家の敵に対し頭を使っても国政に頭を使う必要はありませんよ」 宰相は蔑んだ目でライガ将軍に言った。 軍事にしか権力のないお前が私に口出しをするな、口にこそ出してないが宰相の言葉は明らかにそう表していた。
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