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準備を終えた彼は家を出て
公道抜け老人と別れた場所に辿り着いた。
老人はまだ来ていないらしい。
待つこと一時間が経過していた……。
「じいさん来ないな……。 帰ろうかな。 どうしようかな」
そんな事を考えだした頃、外灯が灯り辺りは
薄暗さを増していた。
そこに、老人が暗闇の中からゆっくりと姿を現した。
「おじいさん、遅いじゃないですか! もう来ないと思いましたよ」
「すまんすまん。 わしも忙しい身なんじゃ」
「それはそうと早く例のもの教えてくれませんか」
英嗣は急かすようにそう言った。
「よかろう。 お主が今朝飲んだ薬で幽体と霊体が離れやすい状態となっているはずじゃ。 そこでじゃ、幽体と霊体を剥がす時は魔法陣を書く必要がある。 魔法ではないんじゃが……。 それが、発動のサインとなっておるのじゃ。」
その事を話している間、彼は異様な空気と緊張感に包まれていた。
そんな中、老人の話は続く……。
「魔法陣を書くコツなんじゃが、一指し指で青いビームを打つようなイメージで指先に力を込める。 すると、人差し指が青色に淡く光りだすはずじゃ。 ほれ、やってみろい」
そう言われ、英嗣もやってみることにした。
人差し指を立てて、力を込める。
だが、成功しない。
何度も挑戦する事、三十分が経過し、ようやくコツを掴んできたのか
淡く弱い光を放つことが出来るようになった。
「その調子じゃ、あとは練習あるのみじゃ。 慣れればすぐできるようになる。 一つ注意じゃが光を放ってる間、取引の出来ない一般人の視界に入った途端、光は消える。 また、具現化していた場合も同様じゃ。 具現化していた時に光が消えた場合は一歩前に踏み出すこと。 よいな? 一歩前に出なければ見えないまま霊体はその場に立ち尽くしたままじゃからのぉ」
霊体が置き去りになっている人を見た事があるのか
老人は後半笑顔でそう語っていた。
「分かりました」
暫く練習すると、ようやく青く淡い光を維持することが出来るようになってきた。
そして、次のステップに入った。
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