出会い

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  「次はそれを維持したまま、とんがり帽子を書くように下から三角形を書き、次に逆三角形を書くのじゃ。 そうすれば、六芒星になるからの、それを円で囲めば魔法陣の完成じゃ。」  老人に言われた通りに英嗣も書いていく……。 「それが出来たら、六芒星を両手で添えてそのまま六芒星を力強く押し出すのじゃ!」  最後の説明にとりかかると同時に老人の声は力強く大きくなっていった。    英嗣は大きく息を吸い力強く六芒星を押した。 「せいや!」 掛け声と共に押し出された六芒星は消え 青く淡い光を放った自分が目の前に出現させていた。 「おぉ……。 出来た、出来たぞ、やってやった!」  彼の声には驚いたような、嬉しいような、不気味なような あらゆる感情が入り混じっていた。 「驚いている暇はないぞ。 次は取引方法を説明するが……。 よいな」 「あ、はい……」  老人の言葉に彼は目を丸くし、少し拍子抜けしたような表情でそう放った。 「取引方法なんじゃ、取引の情報料として今から五年と練習用に一年を頂くがよいな?」 「はい!」  彼は目の前の現実に酔いしれながらも 意志の固い目でそう言い放った。  練習用の一年は良く理解できていない様子だが 老人には考えがあると確信しているようだ。  老人は再び青く淡い光を放つ魔法陣を書きだした。 「では、ゆくぞ!」  その掛け声と共に魔法陣に向かって勢いよく右手を突き出した」  その右手は死神を思い起こさせる程 おぞましく、どす黒く、どろどろとした右手であった。  その右手が淡く青い光を放つ英嗣の心臓辺りを 鷲掴みするかのように掴んでいた。  すると、彼の目の前には青く淡い光を放つ スコアボードのようなものが出現した。 「そこに光を放たせた人差し指で六年と書き込み、両手で押し込むのじゃ」  英嗣はそれに従った。  すると、スコアボードが押し出され 同時に老人の右手が引き戻されていった。
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