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風呂場から出て時計を見ると
九時三十分になっていた。
彼はとりあえず昨日老人と出会った場所に行く事にした。
服を着て、念のために筆記用具とメモ用紙を持ち
準備万端の状態で家を後にした。
山道を少し歩くと……。
老人が薄っすらと見えだした。
ようやく、おじいさんの目の前まで辿り着くと……
「待っておったぞ!」
第一声は老人からであった。
「昨日の出来事は夢じゃないんですよね……」
「何を言っておる。現におまえさんはここに来て、わしが居る。答えは出ておるじゃろ」
「そ、そうですね……。 所でおじいさんが研究した物と俺と何か関係があるんですか?」
昨夜悩み、一番疑問に思っていた事を口にした。
「わしは人の幽体や霊体を通して、おまえさんがどれがけお金に執着心を持っておるかがわかるのじゃ。 そこで、おまえさんに一儲けさせてやろうって訳じゃ」
「えっ!? でも、俺より金に執着している人も居るだろうし、そもそもなんで俺なんですか?」
「おまえさんが若くて、活気溢れておるからじゃよ。 なにも、おまえさんだけに教えておる訳ではない。 富豪の肩書きを持つ者はわしが研究した事を教え裏で儲けた奴らが多いのじゃ」
単調でつまらない毎日の生活に
終止符を打つことが出来るかと思うと
彼の鼓動は高鳴り抑えずにはいられなかった。
「ワシは今からおまえさんに取引方法を教える。 だが、条件が一つあるんじゃが……」
「条件?」
「あぁそうじゃ。条件をのめない場合は、わしはおまえさんに取引方法を教えぬ。 よいな?」
「あ、はぁ~…… 俺にできることなら……」
「これは当たり前の事じゃが、他言しては決してならぬ。 他言した場合はおまえさんの体は滅びる。 そして、取引方法を教えたあとは、情報料として5年いただく。 良いな?」
(俺の寿命とるのかよ……)
っとそう思ったが
未だに半信半疑の彼は「はぃ」と二つ返事で答えた。
「よかろう。早速取引方法じゃが、まずはこれを飲みなさい」
そう言われ差し出された物は
梅干しの種に良く似たものだった。
恐る恐るそれを口元へもっていき、口に含むと……
「うわっ! 何か入ってる。ヌルヌルして気持ち悪い……」
そう思った直後、彼は今にも吐きそうな様子でもがき苦しみだした。
しかし、彼は退屈な人生に終止符を打ちたい一心でそれを飲み込んだ。
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