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「はぁ、はぁ、はぁ」
よっぽど不味かったのか
種のような物が胃に到達する頃には息を切らしていた。
(じいさん、これで何も出来なかったら殺す)
冗談なのか、本気なのか、彼はそう心に決めた。
「おまえさんが食べた物は幽体や霊体を剥がしやすくするもんじゃ」
老人は彼のもがき苦しむ様を見るなり笑いながら語っていた。
もがき苦しむ人を見るのが好きなタチの悪い老人らしい。
「で、どうすりゃ良いんだ?」
「まぁ、待て。 取引は暗闇の中でしか行えん。 また夜に来てくれんかの」
「わかったよ。 じゃあ、午後八時にくるから、待ってろよ! じゃあな!」
そぅ言い放つと
英嗣は来た道を戻り、老人の前から姿を消した。
帰宅した彼は
とりあえず、家庭用TVゲームを始めた。
ゲームに飽きると
気晴らしにギャンブルに行くようだが
今日はゲームに没頭しているようだ。
そうこうする内に約束の午後八時が迫ってきた。
それに気付くとそそくさとゲームをやめ、出かける準備に取り掛かった。
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