どうでもいい話

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普段、私は仲間と乗り合わせて船で沖に出る。 だけどその頃は、磯で仕事をしてた。 サトコさんって、はにかんだ顔でね、ユウジは私を呼んだ。 その声が聞こえるところに居たかったのかもしれないね。 私が潜るのをね、見るのが好きだって言ってた。 海に抱かれる。 真っ逆さまに、私は降りてゆく。 誰よりも長くそうしていられる。 海の恵みを、神様が許してくれるだけ、持ってゆっくりと元居た場所に帰るの。 仕事をするのは夏の間だけね。 私は生きていて、生かされていると、心から感じることができる。
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