恋を覚えた1944冬

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私は寝室で貰ったワンピースに着替え、再度妹達に披露する為に居間に戻る。 「「おー、似合う!」」 妹二人は拍手。 「有難う」 微笑む私。サイズもピッタリだ。 玄関のチャイムが鳴る。 「はーい」 私はそのままで玄関に行き、扉を開ける。 「「大和、ハッピーバースデイ♪」」 親友の長門、翔鶴がやって来た。 「わぁ、有難う!」 二人を招き入れてテーブルに着くと誕生日パーティーが始まる。 「大和さん、誕生日おめでとう御座います」 長門からは万年筆のプレゼント。 「有難う、長門ちゃん」 「ほい大和、誕生日おめでとう」 翔鶴からは以前から欲しかったCDを貰った。 「有難う、翔鶴」 こうして居間で楽しい誕生日パーティーが始まった。 だけど、こうしてるのは楽しいが、心の何処かに潜むあの時が突っかかって素直に楽しめない。 私は最後愛されて死んだんだと思う、互いの傷だらけの体を抱きしめながら。だけど、私はそんなことは望んでなかった。 生き延びて欲しかったあの人。人間ではなかったあの頃の私を人間のように接して愛してくれたあの人。
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