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「あれ、誰か来たかな?」私は誰が来たのか確認しようと
玄関のほうを覗きみようとしたんだけど、お袋が焦った様子で止めてきた。
「また来た、、、さっきのあれだ絶対、、、」
さっきのあれ?私はなんのことだかさっぱりだったんだけども、
帰ってきたときのお袋の様子と「さっきのあれだ」ってのは関連してると思った。
「ねぇ、帰って来たとき凄く様子がおかしかったけど、
そのさっきのあれって奴が原因なの?」この問いかけにお袋は黙って頷き
「あれがね、ずっと玄関をノックしてるの、あんたが帰ってくる少し前から。
お母さん、それが怖くて怖くてたまらなかったの、だからずっと
耳塞いで、それが居なくなるの待ってたんだけど、そうしてるうちに
あんたが帰って来たのよ、玄関から」お袋の顔が青ざめている、
ちょっと尋常じゃないなと思った。
「あれって、なに?見たんでしょ」お袋は顔を下に背けてる。思い出したくもないって様子だった。
この間も、まだ玄関からコンコンというノックの音は続いてる。
このままじゃ埒があかないと思い「ちょっと見てくるよ、さっきのあれとは違うかも
しれないし、宅配とか近所の人が来てたら困るでしょ」そう私が言うと、
お袋が「駄目だって!行かない方がいい、絶対後悔するから」
といって掴んだ腕を離してくれない
「大丈夫だって、なにかヤバイもんとかだったら、玄関開けたりしないし、ただ見てくるだけだから」
お袋が掴んでる腕を強引に振り払って私は玄関に向かった。
うちの玄関は曇り硝子が張ってある引き戸なんで、
玄関を開けなくても外にどんな奴がいるのかはある程度わかる。
私は玄関まで行き、そのノックしてる奴がどういった奴なのか、
その曇り硝子越しに見た。たぶんお袋も来客だと思って玄関まで行き、
これを見たんだろうね、玄関に立つ赤い人影を。
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